白カビに突然心を奪われてしまったんです
いや、ねカマンベールチーズが自分の中でブームになってしまって
手のひらに収まらない程度の大きさの、
白くて丸い塊を買ってきて(私の手はそこまで大きくない)、
冷蔵庫で冷やしておき、
毎日果物ナイフでチビチビ切りながら食べるんです
はじめは冷たく、かたく、小さなナイフでも切りやすい白カビの壁
ただ少し良いチーズならば話は違うようで、
切る途中から中身がとろとろと溶け出して
途端にナイフにくっついてしまうのですけれど、
とにかく360°から少しずつ切り出してひとかけら
手の温度と(私の手は熱い)部屋の温度で、じょじょに
白カビの壁に守られた中身がゆるゆるととろけだす
とろりとやさしい味がして、かたい皮はぷつんと歯で切れる気持ちよさ
白カビは青いのと違って舌をぴりぴりさせないし
見た目通りの味がするたべもの
こんな夜更けだけれども、さっき最後のひとかけらを食べてしまって、
感傷に浸りながらカマンベールチーズに想いを馳せて眠ることにする